その一瞬まで…
2
しばらくたって、空き教室から戻った。
あれからはると話す機会はほとんどなかった。
いつもの窓側の席。
モヤモヤは消えていない。
いつになったら消えるのだろう。
空を見ていても、
話をしていても、
何をしていても、
満足しなかった。
なにか足りなかった。
杏に相談した。
「それは恋でしょー」
『そうなのかな』
「今まで満足していたのに、木村君と話す楽しさを知ったから満足しないんでしょ?」
『…そうかも、』
「人間って不思議よね。新しい感情を知ると、その感情がないだけで不安や不満になるんだよ。」
それって今の私だ。
『じゃあ私は好きなのかな…』
「多分ね!それにね、こんな花梨初めて見た。」
『えっ』
「恋してる。って感じ!」
…そっか。
―――私、今恋してるんだ。
―――初めてだよ、こんな気持ち。