その一瞬まで…

しばらくたって、空き教室から戻った。
あれからはると話す機会はほとんどなかった。

いつもの窓側の席。
モヤモヤは消えていない。
いつになったら消えるのだろう。

空を見ていても、
話をしていても、
何をしていても、
満足しなかった。

なにか足りなかった。



杏に相談した。

「それは恋でしょー」

『そうなのかな』

「今まで満足していたのに、木村君と話す楽しさを知ったから満足しないんでしょ?」

『…そうかも、』

「人間って不思議よね。新しい感情を知ると、その感情がないだけで不安や不満になるんだよ。」

それって今の私だ。


『じゃあ私は好きなのかな…』


「多分ね!それにね、こんな花梨初めて見た。」

『えっ』

「恋してる。って感じ!」


…そっか。


―――私、今恋してるんだ。

―――初めてだよ、こんな気持ち。



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