君が、イチバン。

アパート近くに着いて、車から降りる時、ありがとうございましたと色んな意味をこめて頭を下げた。

「こちらこそ。助かりました。無理をさせたのに応えてくれる若咲さんは貴重な人材です」

一条さんの言葉にへへっと照れる。やだなぁ、褒め殺される。


「…そういえば四宮君と付き合ってるんですか?」

不意に聞かれた一条さんの質問に私は眉を上げた。いきなりなんだ。もっと誉め殺してくれるんじゃなかったのか。

「いえ?」

一条さんは大して興味なさそうに「そうですか」と頷く。社内恋愛禁止なので、みたいな感じかな。


微妙な沈黙が流れて、それをあっけなく破ったのは、




「じゃ僕と付き合いませんか?」

一条さんのびっくり発言だ。



「か、からかわないで下さい」

何を言い出すんだ、一条氏。ウェディングマジックにやられたのか。

一条さんは軽く肩で笑っただけで、真意は測れない。
ただ、その目線かゾクリとする位艶っぽくて焦る。



「なんとも思って無い方にキスなんてしませんよ」



もう、ちょ、助けて。




< 183 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop