君が、イチバン。

鍋とモヤモヤ

◆◆◆

奈津美さんと会ってから、ぼーっとする事が多くなった。なんというか、感情の置き場が定まらない感じで。
奈津美さんの指輪を見て、話をして。ひとつの恋がやっと自分の中で綺麗に終わった気がしたのだけど、別の悩みができた。


ーーーー

今日は休みだ。部屋が寒くて布団の中で丸くなる。目が覚めても中々布団から出られない。
だけど、何かしていないと無意識に考えてしまうから嫌だ。
奈津美さんの話、鰐渕さんの事、ーーー瑛ちゃんの事。

瑛ちゃんは、甘くて、優しい。怖いとこなんて見たことなくて、緩くて、時々お母さんみたいで、だけど、



熱を含んだ瑛ちゃんの瞳を思い出す。


いつだって傍にいてくれて、居場所をくれる瑛ちゃんの本当を私は知ってるのだろうか。
クリスマスイブに触れた瑛ちゃんは知らない人みたいで、ゴトリと動いた自分の胸。鰐渕さんへの気持ちを消化できたのもゆっくりゆっくりと瑛ちゃんが溶かしてくれたのだろうと思う。

私のワガママでズルズルと引き留めて良い人じゃないと今更思うなんて勝手だ。
よく考えれば、いやよく考えなくても、瑛ちゃんはかなり良い男だ。一条さんと雰囲気が似ているかもしれない。一条さんの棘を全部落として優しくした感じ。見た目だって甘くて、フェロモンの固まりみたいだし。料理だってプロ級でさ、優しいし、まあ仕事はよく分からないけど、出来る男だからどんな職種についてもそれは変わらないだろう。
なんでいまだ私の傍にいてくれるのか、と考えてたらまた抜け出せなくなる。





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