君が、イチバン。

まだ事務所で和やかに挨拶をしていると、シフト終わりの子が入ってきて、ドア近くにあるタイムカードを押した。




「あ、新しく入った若咲さん」

向坂さんが声を掛ける。

私が慌てて頭を下げると、その子は何の感情も籠らないビー玉みたいな透明の瞳を向けた後、軽く会釈するとさっさと背中を向けた。




女の子?かな?美人だ。美人。生意気そうな美少女。
無造作に癖を出した黒髪は首筋までの長さで、そのせいかかなりボーイッシュ。



「あ、気にしないでね、四宮はあんなやつだから」


向坂さんは笑顔で私に声を掛けた。全然気にしてない、と私も笑顔で答える。第一印象では仲良くなれる気なんて全くしなかったけどね!







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