君が、イチバン。
一体なんだったのか一条さん。昼食をご一緒しませんか、と言って私が答える暇なく、「では午前11時に電話します」と言って去って行った。不可解過ぎる。
携帯番号は初日に登録してある。勿論、仕事の為だ。使用するとは思わなかったけど。
ーーー
閉店時間が近付いて、一階の売り上げを持ってきた四宮君と一緒になった。
「お疲れ様」
顔を上げた四宮君の目は少し赤い。寝不足、みたいなそんな感じだ。
「昨日は迷惑かけてごめんね」
お母さんみたいに、飲み過ぎるなと何度も言ってくれた四宮君だ。お礼も言っておこう。
「…なあ、アレどういう関係なんだ」
四宮君か目を逸らす。アレとはなんだ。
「なに?」
「覚えてないのか?」
おい、やっぱり私何かしたのか⁉︎アレってなんだ。関係ってなんだ。
「覚えてない、なんとなくも覚えてない」
むしろ思い出したい。私の言葉にハァと息を吐く四宮君。
「…瑛太、って人」
瑛太?瑛ちゃん?ああ、私瑛ちゃんに連れられて帰ったんだもんね。皆それに触れないから抜け落ちてた。冴草さんは要注意だけど。
「瑛ちゃんは友達だよ」
清いとは言えませんが。
四宮君は、眉を曲げる。
「…それだけか?」
「なんで?」
なんかあったのかな?
疑問符を飛ばす私に四宮君はまた深くため息を吐く。
「…俺、ださ」
自嘲するように笑うその顔はどこか大人びていた。