君が、イチバン。

真衣達を見送った後一条さんは、月始めのミーティングの連絡と私に次の部署を伝える。
必要事項だけを聞いた岡本さんは使用した部屋を片付けにその場を離れた。


一条さんは何か考えるような表情で私を眺めている。

「若咲さん、身長は?」

「160ちょいです」

ふむ、と指先で顎を掴む一条さん。…が、ちょっと待て、それは私の顎だ。
一条さんがその指先を軽く持ち上げ、私は仕方なく一条さんを見上げる。
そのままキスでもしそうな体制だ。恥ずかしいんですけど。何プレイなの、これ。
悶えていると、一条さんが薄く笑う。

「キス、しますか」

「ぅええ⁉︎」

「冗談ですよ」


もうやだ、この人。
動揺する私に満足したように一条さんがやっと私の顎を解放した。


「若咲さん、明日空けておいて下さい」


今度は冗談です、とは言わなかった。




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