君が、イチバン。

午後10時過ぎ閉店時間を迎えて、片付けを済ませたメンバーは皆帰っていった。
高橋さんについていかねばと仕事内容をチェックしていた私は少し遅く従業員用の裏口から外へ出る。




…あれ?あれは、

「…四宮君?」


駐車場の近くの店の鉄筋の下にぼんやりした人影。
美少年の癖に煙草を吸う姿が様になっている。


「何してんの?」

「…兄貴待ってる」


お兄さんいたんだ。


「ほー、なんで?」

「バイクないから」

端的な返事にそういえば最近あのデカいバイクを見てないなと納得。


「四宮君、早番だったよね?結構待ってんじゃん。お兄さんいつ来るの?」

「…知らない。もうすぐ来るだろ」

うーん、アバウトだなー。

「送っていこうか?」

何故か驚いた顔をする四宮君。

「…ハァ」

返事は溜息だ。

「おまえ、警戒心とかないの?」

語尾にアホなのか?と聞こえた気がした。失礼な男だよね。

「あー、じゃ帰るねばいばい」

ただの親切心だったんだけど、そんなん言われたら意識してまうでないの。




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