私の兄は、アイドルです。
 



車から降りるなり、
私に向かって指を指してきた男性。


わざわざ私の名前まで呼んで下さってるし。



しかも……それは……




「……もしかして……
『BIG4』のユキさん……?」



サングラスしてるけど、

良すぎるスタイルと顔立ちで分かる。


きっと、お兄ちゃんと同じグループの『ユキ』さんだ……



初めて生で見るユキさんにちょっと感動してる私。



実は私、

お兄ちゃんの所属してるグループ『BIG4』の他メンバーの
誰とも会った事が無いんだよね。


今まで誰もお兄ちゃんのマンションに遊びに来たりとかしなかったし……


私自身、お兄ちゃんの仕事してる姿を見たいとか一度も思わなかったから

コンサートすら行った事も無いんだよね……





すると

感動してアホみたいな顔してる私の腕を



「……着いてきて……」



そう言いながらグイッと引っ張ったユキさん。



うわっ!本物!
って違ぁぁう!!




「えっ?どこに……」


「………」




戸惑う私をズルズルと引っ張りながら、ユキさんは事務所のビルの中に入っていった……





―――――

 
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