私の兄は、アイドルです。
 



重いコンビニ袋をぶら下げながら事務所まで歩く、私と春さん。



コンビニから事務所までの短い距離を歩くだけでも、キャーキャーという通行人の声が絶え間無くて。


『超人気アイドル』。

春さんが、まさにそれだと言う事を……

……改めて感じた。




他愛もない会話の中、
突然春さんからの“お誘い”があった。




「なぁー音遠。
今日終わったらさぁ、……暇か?」


「え?うん。
私は全然暇だけど……どしたの?」



首を傾げながら尋ねる私に、春さんは少しだけ照れながら教えてくれた。




「いや、あのさ……?
明日な?コンサート初日じゃん?

でさ……
俺、6歳になる妹いんだわ。
で、明日のコンサートに来てくれるらしいんだ。

だから……
妹になんかお礼のプレゼントあげたくてさ」



こう言って、爽やかにニコッと微笑んだ。



わゎっ、その笑顔反則ですから……!


春さんに何故かつられて微笑んだ私。



「へぇー、優しいお兄ちゃんだね?
っていうか……春さんが妹いるなんて知らなかった!
年の離れた妹さんなんだね?」



 
< 54 / 297 >

この作品をシェア

pagetop