私の兄は、アイドルです。
重いコンビニ袋をぶら下げながら事務所まで歩く、私と春さん。
コンビニから事務所までの短い距離を歩くだけでも、キャーキャーという通行人の声が絶え間無くて。
『超人気アイドル』。
春さんが、まさにそれだと言う事を……
……改めて感じた。
他愛もない会話の中、
突然春さんからの“お誘い”があった。
「なぁー音遠。
今日終わったらさぁ、……暇か?」
「え?うん。
私は全然暇だけど……どしたの?」
首を傾げながら尋ねる私に、春さんは少しだけ照れながら教えてくれた。
「いや、あのさ……?
明日な?コンサート初日じゃん?
でさ……
俺、6歳になる妹いんだわ。
で、明日のコンサートに来てくれるらしいんだ。
だから……
妹になんかお礼のプレゼントあげたくてさ」
こう言って、爽やかにニコッと微笑んだ。
わゎっ、その笑顔反則ですから……!
春さんに何故かつられて微笑んだ私。
「へぇー、優しいお兄ちゃんだね?
っていうか……春さんが妹いるなんて知らなかった!
年の離れた妹さんなんだね?」