Camellia【短編】
「失礼しました」
明日から勤める学校。
学校を回る許可を貰い職員室の扉を閉める。
春休み中の学校はどこかシンとして寂しさを感じる。
俺なんかが先生になれんのかな?
不安に押し潰されそうになり、自然と俯きがちになる。
すると
フワッ
甘い、良い匂い。
「先生!!さようならっ!!」
綺麗な、元気の良い声。
先生って、俺だよな?
慌てて後ろを振り向くと長い髪が揺れる背中が見えただけだった。
忘れられない、匂い。
俺が顔も性格も
何も知らない子。
しかも生徒に
恋をした瞬間だった。
Tsubaki
花言葉は〈気どらない美しさ〉
