魔念村殺人事件
「なぁ春樹、鈴音ちゃんってお前のこと好きなんじゃないか?」


「えっ、何で分かるんだ? 誰かが云ったのか?」


 春樹は狼狽して声が上ずっていた。陸は春樹のそんな態度が可笑しくて、笑いながら答えた。


「見てれば分かるよ。告白とかされたの?」


「陸が知っているからビックリした。告白か……何度かされたよ」


 今度は陸が驚く番だった。何度かって、春樹のやつモテるんだな。


「何度かって、鈴音ちゃんに何度も告白されたのか? いつ?」


 陸の驚いた顔を見て、春樹は笑い声を洩らした後答えた。


「一番始めに云われたのは、中三の時だな。あれは学校の帰りだったと記憶している。次は十八歳の時、俺が村を出る前の日だった。お別れ会の後呼び出されたんだ。次は何ヶ月か前、飲みに行った帰りだな」


「何ーーーっ! お前三回も告白されてたのか!」


 陸は驚きのあまり更に口をパクパクさせていると、春樹は大きな声で笑った。

 テーブルに置いたペットボトルのお茶を飲み、頭を整理させると陸は質問した。

< 57 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop