魔念村殺人事件
 全員が暗い面持ちで黙って頷いた。

 仕方ない。雨が止んでここにいる間に、何とかケムンドウの名を騙った犯人を見つけなければ。陸はそう思うと同時に、早く一人一人に話しを訊こうと焦った。きっと皆のいる前じゃ話せないこともあるだろう。

 すると春樹が顔を上げ、口を開いた。


「陸、俺からにするか? 俺が陸と話し終わったら戻ってくるから順番にさ」


「ああ。頼む」


 陸と春樹は立ち上がると、一緒に部屋を出た。

 雨のせいで湿気が増え、廊下の床は昨日よりも激しく軋み、まるで悲鳴のようである。

 玄関を出ると、相変わらず雨は降り続き、黒がかった灰色の空は何とも魔念村に相応しい。

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