御曹司が恋したお姫様!?㊤
誰かが鍵をガチャッと閉める音が聞こえた。
「「………っ!?」」
あたしたちは言葉にならない声を発しながら、互いに顔を見合わせた。
「もしかしたら、伊織様がいらしているかもしれませんわ!!」
「そうだわ、まだ伊織様がいらしたわ…」
「そうと決まれば、早く会場に戻りましょ!!」
そんな会話が聞こえてから、足早にさっきとは反対の方向に駆けてゆく足音が聞こえた。
「…行ったか」
「みたいだね………」
潤がやっとあたしの口から手を離した。