甘い甘い甘えんぼ

塾でしか会えないんだからもうちょっと優しくしてよね。


『きっ、今日すっごい美女が塾に入って来るんだって。』

「ふ〜ん、そおなんだぁ。どんな子だろ、気になる〜」


『え。』

う、嘘でしょ。

「俺きれいな人タイプッ」
え………。

なん、で、そんな事いうの?彼女のまえじゃんか。

『あほタツヤッ!』


そう言い残してその場を去った。


サイテー。ありえない!
結局は顔で選ぶんじゃん。

『はぁぁぁぁー…。』


うげっ、もうすぐ8時じゃん。


『はあぁぁぁぁあ〜…。』

…トントン


ビクッ!!!!
誰かが優しく私の肩をたたいた。

『…?』

いったい誰よ。そう思って振り返った先には…。


超美少女が立っていた。


「あの、どうかなさりました?」


ぎゃっ、声まで美しい!
しかも髪超ながくてさらっさら。目はぱっちりで、全体的に色白で、まるで…どこかのお嬢様みたい。

『いやっ、別にたいしたことじゃないよっ』

「あら、そうですか。お大事に…。」


や、これは…みたいじゃなくってホントにお嬢様だ!

このしゃべり方と言い…雰囲気といい。


『まぢですか…。』


それから5分。

「どうかした?りんご。」
美絵は落ち込んでる私に首をかしげて聞いてきた。

『超ウルトラ級綺麗だった。』

「えっ、会ったの?!」

『うん、それが…お嬢様』

あれは、ぜったいそうだ。間違いないよ…鈍感鈍感言われてる私にもわかるよ。

「お嬢様???」
『うん。』
「まぢ?」
『まぢだよ。』


はぁ〜。なんかぁ、勝てるわけがないよぉ…。
< 55 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop