白衣と恋する保健室



外に出ると一気に
春の香りがした。


桜が舞う。綺麗。



「・・・・・・」



私は言葉にせず
心でそう思っていた。


久しぶりに人と歩いたから
緊張してるのもあるかも・・・




「綺麗だろ♪」


奴・・・藤堂はまるで自分の
物かの様に誇らしげに言う。


「・・・・はぃ。」


その度に言葉が詰まる私。




「橘は学校に友達いないのか?
 一番仲良しの奴とかさ。」


藤堂はふと
そんな事を言った。


「・・・・・いないです。
 ただの形に過ぎないから。
 だから、いない。」


「形・・・・ね・・・・」




藤堂はそれ以上私の言葉に
突っ込まなかった。




友達はいない。

形だけならいらない。

あるだけの物ならいらない。




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