ばい


ーガチャ
「…ッ……乃亜…」



朝、撮影のために部屋を出ると壁に寄りかかるようにして乃亜が寝ていた。



「…腫れてる。」



昨日、富田さんが言ったとおりなのか乃亜の目は腫れてた。



「…ごめん。」



部屋に戻って毛布を持ってきてやればいいんだろうけど…


俺は自分が着てた上着を脱ぎ乃亜に掛けた後
腫れた瞼にキスし


ポケットの中からキーケースを出し
乃亜の部屋の鍵を外し乃亜の手に握らせた。



「…クッ……さよなら…」



そう言って寝ている乃亜の側を離れた。



「……ッ…」


どうしてだろ…


自分で決めたことなのに涙が止まらない。


男のくせに、こんなことで泣くなんて女々しい…


そう思うのに涙が止まらない。


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