ばい


「今日はありがとう。」

「またな。」

「うん。ばぃ」



初めて出会った頃からキミは別れ際はいつも『ばぃばぃ』や『またね』じゃなく『ばぃ』って言うね。


なんでだろうと思ってたけど
深く考えたことはなかった。



「仁は帰らないの?」

「まだ分かんねぇところがあるから。」

「ふーん…」



俺の言葉にはいつも興味がなさそうに返事をする。



「…なんでフィルターを噛むんだよ。」

「あー…癖なんじゃない?」



乃亜はタバコを吸うとき、いつも少し噛んで吸ってる癖があった。



キミの言葉や癖は昔からみたいだから気にするとこはなかった。


でも、あの日


キミの言葉や癖の理由がわかった。


キミはずっと一人だけ見てたんだ。



なぁ…


お願いだから俺の事も見てくれ…


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