ばい


「…お前に言うか悩んでた俺がバカみたいじゃん」



悩んでた?



「乃亜姉、明日、実家に帰るから」

「あー…いつもの一時帰省?」

「違う!仕事も辞めて部屋も引き払った」

「え…?」



尚輝の言葉に目の前が真っ白になった。


乃亜が実家に帰る…?
乃亜がいなくなる…
乃亜が…



「…幼なじみとより戻すんだ」



色々、考えた結果
俺の頭にはその答えが浮かんだ。


似ている俺を代わりにしてたくらい好きだったんだよな…



「違う。それに慎は結婚してる」

「乃亜が望むなら離婚するって言ってた」



随分前に会った時に言われた。


あの目は真剣だった。


だから俺は…


自分の気持ちを封印した。


二度と乃亜を思い出さないように。


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