ばい


−クイックイッ
「ん?」



乃亜の子どもにジーンズを引っ張られ
目線を合わせるように座った。


乃亜の子どもは乃亜に良く似ていた。



「パパ?」

「え…?」

「ママがパパだよって、ちぇれびをみちぇるときにいってた」



テレビを見ながら…?


俺をパパって言った…?



「ママがあいにゃがいいこにちてたら
あえるよっていっちぇた」



愛菜はにっこりと笑って、そう言った。


俺は確認するように尚輝を見上げた。


尚輝は何も言わず、ただ微笑んで頷いた。



「……クッ…」

「パパ?」



胸の奥から何か熱いものがこみ上げてきて
俺は泣きながら愛菜を抱き締めた。



乃亜との子ども…



そう思うと今日初めて会ったのに愛しさが溢れてきた。



「パパ?」

「愛菜…」



愛菜を抱き上げたと同時に



「手術が終わりました」



手術室から医者が出てきた。


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