先生
感じない

あれから、もう3ヶ月も経っていた。


冬の寒さが本格的に到来し、コートやマフラーが無くては生きていけないほど寒くなっていた。

白い息を吐きながら、街は少しずつ白く変化していく。

たいして積もらないくせに、日陰には雪が残り小さな山を作る。


あの日から、私は全ての感情を無くした。

もちろん、学校でもバイト先でも普通に話し、普通に笑い、普通にふざけ合った。

しかし心から笑える事は、3ヶ月間のうち1度も無かった。


初めは、学校で真咲先生を見る度に柚子や篠に泣きついていた。

先生からメールや電話が来る度に、会いたい衝動にかられた。

でもだんだんと心を閉ざすうちに、完全に感情を押し殺す様になってしまったんだ。


先生の誕生日に、着信拒否のボタンを押した。


苦しかった。


でも、留守録に入っている

『会いたい』

って言う先生の声を聞くのは、もっと辛かった。


覚悟して押したはずなのに、涙がとめどなく溢れ出す。

その日は、次の日の事なんか考えずに1日泣いていた。

学校が休みだったのが、不幸中の幸い。


でも、どうしても写メは消せなかった。

完全に忘れるまでは、もう少し時間が必要かもしれないな。


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