色葉
ほけんとうにて
目が覚めた時


目の前に古川つばさの顔があって



悲鳴を上げた



すごい目の前だった


キスされたんじゃないかってくらい


「何女の子みたいな声出してるの」


ニヤァっと笑った顔は肉食獣そっくり


なんて感想はどうでもいい


「お、お前。お、おれ、オレに、な、何もしてないよな」


声が震えていたのもしょうがない


だって怖かったんだ


こいつ前科あるし


「そうね。陣がもう少し寝てればねぇ」


そう言って指を唇に当てるな


寒気がする


いや待て。もっと大前提の疑問を


「なんで古川つばさがここにいる?」


そう言った途端すごく綺麗に微笑んだ


こいつがこういう笑い方するのはおれをバカにするときだ


「陣はなんでこの学校選んだんだっけ?」


「お前がいないから」


「それは遠くの学校を選んだ理由でしょ?この学校を選んだ理由は?」


この学校を選んだ理由


それはあのパンフがゴミ箱にたまたま捨ててあるのを拾ったから


「拾うことを見てたのか?だが、あの時あの場には誰もいなかったぞ」


「ええ。私は見てないわ」


「じゃあ、持ってたのを見たのか?


オレは慎重には慎重を期して親にも教師にもぎりぎりまでは話さなかったからそれ以外は考えられん」


古川つばさは本当に楽しそうに笑ってる


その顔が憎らしい


「その答えにはおれが答えよう」


そういって入って来たのは秀と一人の少女


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