秘密な私の愛しき人
その瞬間、ブワッと風が吹いた。



--体は心に正直だ。



私が言葉を発する前に…


スーッと1粒の涙が流れた。



何か言わなきゃいけないけど言葉が出ない。



そんな私を見て、琉ちゃんクスッと笑って握っていた指輪を私の左薬指につけた。



ズルイ……本当ズルイよ…琉ちゃんは…



私の涙は今ので一気に流れていく。



そんな言葉、言われたら嬉しすぎて何も言えないよ。




「はいっ…!」



すごく嬉しくて…この気持ちを伝えたいのに、それしか言えない。



琉ちゃんは知らない。


他の人が言うと駄目なキザセリフを、何故か琉ちゃんに言われると私を喜ばせる言葉に変わるなんて。




琉ちゃんは私をギュッと抱きしめた。



「一生離さないから--」



琉ちゃんの甘い声が響く。



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