Love Step
「早くおいで」


恥ずかしくてためらうわたしの手を引いたゆきちゃんは強引に膝の上に横抱きにした。


「/////」


「大丈夫?」


俯いている杏梨の顔を良く見ようと覗き込む。


「う、うん でも恥ずかしいよ……」


「誰も見ていないのに?」


「み、見られていたらこんな事出来ないよっ!」


杏梨の初々しい反応に思わず笑みがこぼれる。


「レッスン開始な?」


「レ、レッスンって……その言い方、おじさんっぽい」


Hっぽい響きに聞こえてしまうのはわたしだけ?


「それ、傷つくな~ まあ、杏梨にとっては十分おじさんなんだけどな」


胸の上に手を当てて傷ついたそぶりを見せる。


「ゆ、ゆきちゃん!ゆきちゃんは絶対におじさんなんかじゃないよっ!」


慌てて言い繕う杏梨。


そんな杏梨を見て雪哉はニヤッと笑うと唇を素早く重ねる。


杏梨の背に手を置き確かめるようにキスをすると華奢な手が雪哉の服をぎゅっと握り締めた。


一度柔らかい唇に触れてしまえばその先の事もしたくなる。


深まっていくキス。


雪哉は何度も何度も角度を変えて甘い唇を吸い上げる。


「んっ……」


杏梨の喉の奥から甘い声が漏れる。


「俺が怖い?」


怖くない、怖いわけがないよ。


杏梨は大きく首を横に振った。


「良かった」


「……うん」


「じゃあ、今日は一歩進んだ所まで試そうか?」


優しく髪を撫でる手は止まらない。


「す、進んだ所って……?」


小首をかしげる杏梨。


ぷっくりと濡れた唇はキスを誘っているようだ。


「次は俺に抱きしめられて眠る」


「え?ええっ!?」


あまりの驚きように雪哉の髪を撫でる手が止まった。


「キス以上は先に進まないから安心していいよ」


「で、でも……」


「他の男の所へ行くーって泣き叫んだのは誰?」


意地悪く言ってみれば杏梨は素直に「わたし……」と認める。


「じゃあ、風呂に入ってくるよ」


杏梨を膝の上から降ろすと雪哉は浴室へ向かった。




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