Love Step

気になる存在

* * * * * *


「峻、仕事入ったぞ」


モデル事務所の峻のマネージャーが嬉しそうに近づいて来た。


「え~、また?俺の本業は勉強ですよ 勉強」


甘い顔の中にも精悍な印象を与える峻は人気がうなぎのぼりだ。


本人はお小遣い稼ぎに始めたモデルの仕事。


容姿から軽く見られるが大学は法学部で将来はモデルでなく司法書士になりたい。


「そんな事を言うなよ これでも仕事選んでやってるんだぞ」


テーブルを挟んで峻の目の前に座ったマネージャーは嫌そうな峻をなだめた。


そこへ雑誌編集者が到着して打ち合わせが始まった。



* * * * * *


「峻、打ち合わせの最中、上の空だったぞ?」


雑誌編集者が帰るとマネージャーがたしなめる。


「……すみません」


「勉強が本業だが、やるからにはしっかりやれよ」


そう言うと峻の肩をポンと叩いて帰って行った。


峻はマネージャーの姿が消えるとイスの背もたれに背を預け天井を仰ぎため息を吐いた。


前髪が伸びすぎて目に入ってうっとおしい。


俺そんなに上の空だったか……?

あのガキンチョ、杏梨のせいだ。

どうしても気にかかる。

何をしていてもあいつの事を思い出し意識を持っていかれる。



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