Love Step
「でも……雪哉さん、杏梨ちゃんの事がすごく気になるみたい」


「え?」


「妹が可愛いのね 私が峻くんを可愛いみたいに」


彩は雪哉が杏梨を気にかけるのは妹としてだと考えていた。


「俺が可愛い?」


「そうよ~ 峻くんは姉思いでカッコよくて可愛いわ~」


3歳しか違わないがもう1人いる姉より仲が良かった。


30歳になる姉は結婚して子供もいる。


「とにかく杏梨ちゃんと峻くんが仲良くなってうれしいわ」


にっこり笑いかけられた時、タクシーが自宅の前に停まった。



* * * * * *



翌朝、目が覚めて床に足を降ろしたちょうどその時、母 貴美香からの電話が鳴った。


「ママ!」


『おはよう 起きてた?』


「もちろんだよ!」


『朝から元気ね?』

娘の声が明るくてうれしくなる。


「電話珍しいね?どうしたの?」


『どうしたの?って冷たいわね~ もう夏休みでしょ?いつこっちに遊びに来てくれるか確認の電話よ』


「あ……」


前に話した時は行かないつもりだったけど、昨日の彩さんとの会話は休みを調整するって言ってったっけ。


『杏梨?』


「う、うん ゆきちゃんに聞いてみるね 1人で行くのは嫌だし……」


『なに言ってるのよ 飛行機に乗ってしまえばあっという間に着くわよ』



雪哉君が忙しいのは分かっている。

杏梨だけでも遊びに来て欲しいと思うのは親心だ。


『春樹さんも楽しみにしているんだから絶対に来るのよ』


有無も言わさない勢いで電話は切れた。


携帯電話をパタンと閉じながらどうしようかと呆(ほう)ける。


やっぱり1人じゃ怖いよ。

向こうの空港で待っていてくれても、初めての飛行機は抵抗がある。

それにゆきちゃんの側から離れたくない。

……ゆきちゃんに聞いてみよう。




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