Love Step
スレンダーで身長が高い真緒さんは10センチのヒールを履くと、俺と身長が変わらなくなる。

スリムな身体に整った顔。

彼女目当てでこの店に来る男は多いらしい。


「あ~あ、こんなに飲ませないで下さいよ」


「う~ん……しゅ……ん……くぅ……ん?」


うつ伏せのまま呟く彩に真緒が笑う。


「飲みたいんだから飲めば良いのよ まったく、相変わらず仲がいいのね」


あっけらかんとした真緒に峻は苦笑いする。


「明日、早朝ロケがあるって言ってたな 連れて行きますよ」


そう言って彩を抱き上げる。



まったく年下のくせに頼りがいがあるって言うか……。

カッコいい弟だわ。


「気をつけてね~」


真緒は軽く手を振って2人を見送った。



* * * * * *



彩をベッドに寝かせた峻は「はぁーっ」と息を吐いた。


姉貴に何か嫌な事があったに違いないな。

もしかして……雪哉さん?


雪哉の事を思い出すと、必然的に杏梨の事を思いだしてしまう。


姉貴が振られたとしたら……あの2人はうまく行っているはず……。


俺たち似ているな……。

好きなのに相手にされない。


峻はベッドサイドに置かれた目覚まし時計を手にすると5時にセットして部屋を出た。




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