Love Step
雪哉がお風呂から上がり、寝室に戻ると杏梨は大きなベッドの端に丸まって眠っていた。


寝返りを打ったら床に身体を打ちつけるぞ?


シーツの上に横たわると丸まっている小さな身体を自分の方へ引き寄せる。


ぐっすり眠っていてピクリともしない。


杏梨は先ほどのキャミソールとホットパンツ姿から長袖のパジャマに着替えていた。


「暑いだろうに」


雪哉は腕を伸ばしてエアコンのリモコンを操作して、温度を少し下げた。


こんな姿を見ると自信を無くす。

触られたくないって言っているみたいで……。

……まあ……この方がありがたいが。



雪哉は杏梨の額に口づけを落とし、抱き寄せたまま眠りに落ちた。



* * * * * *



さわさわと頬に何かが触れる感覚に杏梨は「ぅ~ん……」と言って寝返りを打とうとする。


寝返りを打たれないようにしっかり抱き込む。


「ん……」


ボソッと声が出るものの起きる気配はない。


可愛すぎるぞ。



そんな事を思う俺はおじさんの域に入っているのかもな。

しかし、可愛いものは可愛い。

俺は俺の愛しかたで杏梨を愛す。


マスカラをつけなくても長い睫毛、ピンク色の唇。


眠っている杏梨の唇に指を触れる。


その瞬間、杏梨の目がパチッと開いた。




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