Love Step
「あ!もう行かないとっ」


やっぱりゆきちゃんの事は言えないよ。


杏梨は琴美にペコッと頭を下げると部屋を出た。


ドアが閉まると琴美は怒りを静める為に、荒い息をしなければならなかった。


健次……、あの子を見るのは苦痛だわ……。




杏梨が休憩室に向かう途中、ポケットの携帯電話が振動した。


短い振動なのでメールのよう。


急いで休憩室に入ると携帯電話を出して開いた。


ゆきちゃんからメールだ……珍しいな。


【今日は6時に上がれるから食事をして帰ろう】


うわぁ……。

嬉しすぎる内容だった。


にんまりと頬の筋肉を緩ませながら


【了解だよ(*^_^*)】


と、返信する。



その後、スタッフの何人かに「ウキウキしているね?」とか、「なんか良い事でもあった?」などと聞かれるほど杏梨は浮き足立っていたらしい。


めぐみにも聞かれてしまい慌てて「なんでもないです」と答えた杏梨はめぐみがいなくなると、頬をぺしぺし叩いた。


わたしってすぐに顔に出ちゃうんだな……。



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