Love Step
「……ごめん」


しばらく間が空いた後、峻の謝る声がした。


梨沙は窓の外から峻にゆっくり顔を向けた。


「ごめん……あの子は……俺が初めて好きになった子なんだ」


「あの子ってあんりって子?」


「でも振られたんだ あの人の事が好きだって、あの人も杏梨の事を愛していて……」


「あの人ってカリスマ美容師の?」


「そう」


梨沙は整理をする気持ちで頭の中で関係図を作った。


峻くんのお姉さんは雪哉さんの事が好きで、峻くんはあの子の事が好きだった。

あの子は雪哉さんが好きで、雪哉さんもあの子の事が好き。

って事は……2人は相思相愛で……。

峻くんとお姉さんは……。


「梨沙、俺 やっぱり杏梨の事がまだ忘れられない」


頭が混乱しちゃう。

峻くんはあの子の事が忘れられないからあたしから離れようとしている……。


「……それでも良いから……それでも良いから……あたしと付き合って欲しいの」


梨沙は峻の首に抱きついて唇を重ねた。



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