Love Step
お店に行くと、めぐみさんは心配してくれて頻繁に「気分は悪くない?」とか、「体調はどう?」などと聞いてくれる。


ゆきちゃんにきつく言われているんだろうな。


わたし、かえってみんなに迷惑かけちゃっている?



いつもは雑用の仕事が、今日は受付にずっといる。


待っているお客様がいなくなった時、ゆきちゃんがオフィスから降りてきた。


手招きをされて近くへ行く。


「なあに?」


「昼食の時間になったらオフィスへおいで 昼食を頼んであるから」


「う、うん」


一緒に食べようと言われるのは珍しい。


いつもは一人で食べるか、先日のように琴美さんや時々、めぐみさんが外に誘ってくれるくらいだ。


いつもはコンビニやファーストフード店で済ませている。


「じゃあ」


それだけ言うとフロアーの方へ行ってしまった。


「杏梨ちゃん」


ぼんやりフロアーの方へ向かう雪哉の背中を見つめていた杏梨に琴美が近づいた。


「あ、琴美さん お疲れ様です」


今日、初めてあったので頭をペコッと下げる。


「もう大丈夫なの?」


心配そうな顔で尋ねられる。


「はい もう大丈夫です」


「一緒にご飯を食べた後だったから、私のせいじゃないかしらって心配していたの」


「そんな!琴美さんのお昼とは関係ないです 琴美さんはなんとも無かったんですし」


琴美さんが自分のせいかもしれないって思っているななんて……。

迷惑かけちゃった……。


「ええ……私は大丈夫だったわ」


「夏バテみたいです 夏はちょっと苦手で」


今日はブルーのワンピースにレモンイエローのカーディガンを羽織っている。


外の暑さと、サロンの中の温度差にも気をつけるように雪哉から言われたのだ。


「そう 気をつけてね」


人を疑うことなんて知らない子なのね。


ほんとイラつくわ。


琴美は心の奥底から湧き上がる憎しみを隠そうと必死だった。








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