Love Step
ノックをしようと手を上げた時、中からドアが開いた。


「……ゆきちゃん」


杏梨の顔は紙のように白かったが、左の頬だけは赤く腫れていた。


「入って」


促されて部屋に入ったものの、彩の姿を見て足を止めた。


先ほど怒りをあらわにしていた彩は今、悲しそうな顔で杏梨を見ていた。


「それは?問題の記事?」


杏梨の持っている雑誌を目にして雪哉が聞く。


コクッと頷く。


「見せて」


優しく微笑みかけられて、杏梨はやっと呼吸が楽になった気がした。


雪哉に持っていた雑誌を渡す。


「立っていないで座って」


言われるままに一番近い場所に腰を下ろす。


彩から離れた場所だ。


「杏梨ちゃん、ごまかさないで正直に話して」


彩の言葉に杏梨は傷ついた。




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