Love Step
杏梨が記者に言うわけがない……雪哉は信じていた。


しかし、彩は杏梨のせいだと思っている。


誤解を解く為に杏梨をここに呼ぶしかなかった。


受話器を取ると、受付の内線を押す。


『はい、雪哉さん』


「杏梨を呼んでくれないか」


『分かりました』


受話器を置くとソファーに座っている彩を見る。


今にも倒れそうなほど、顔が青ざめている。


無理もない、清純なイメージが売りの女優だ。


一度、バッシングを受けた女優は……特に彩のように駆け出しの女優はもう無理かもしれない。


それだけに今の彩は窮地に陥り、ショックを受けていた。




* * * * * *



「杏梨ちゃん、どうして名刺を持っているの?」


名刺を持っていたのが、めぐみに不信感を抱かせてしまった。


「それは……」


まったく覚えていないのだから答えられない。


そこへ、雪哉が呼んでいると杏梨をスタッフが呼びに来た。


心臓がバクバクする。


ゆきちゃんはわたしを信じてくれる……?


下唇を噛むと杏梨は雑誌と名刺を手に、心臓をバクバクさせながら雪哉のオフィスに向かった。




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