Ｌｏｖｅ　Ｓｔｅｐ
峻くん……。



「おい！どうした？具合でも悪いのか？」


あの事故の記事が出たのを知り、峻は姉を探していた。


姉は携帯電話の電源を切っていてつながらず、マネージャーに電話をしたのだ。


マネージャーは雪哉のサロンに送り届けたと聞いたので着いた所だった。



杏梨は何も答えずに、峻の手を振り払うと走り出した。


「おいっ！」



キキーーーーーーーーーーッ！



自転車のブレーキ音がその場に響いた。



杏梨はぶつかる寸前に自転車を避けようとして地面に転がった。


「どこを見ているんだ！」


自転車の持ち主が罵倒する。


「す、すみません」


ぶつかりそうになった女の子の顔が青ざめているのを見ると舌打ちして走り去った。


「杏梨っ！」


峻は地面に座り込んでいる杏梨に駆け寄った。


「怪我はないか？前にも自転車にぶつかりそうになっただろう　今に酷い事故に遭うぞ？」


軽くいさめる様に言うと俯いている杏梨の顔を覗き込む。


杏梨は声を押し殺すように泣いていた。


「どこを怪我したんだ？」


痛くて泣いていると思っている峻は擦りむいた箇所を探し始めた。


手のひらと、膝を擦りむき血が滲んでいた。


「あ～ぁ　これは痛いわ　消毒が必要だよ」


杏梨を立ち上がらせると、擦りむいていない方の手を握りサロンへと向かう。




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