Love Step
「雪哉さん!杏梨が心配じゃないんですか?」


峻の言葉に彩は耳を疑った。



峻、いったい何を言っているの?



峻は雪哉を見ている。いや、睨みつけていると言った方が合っている。


「峻君、杏梨に会ったのか!?」


雪哉は峻に詰め寄った。


「店を出る時に会ったんです かなり動揺して自転車にぶつかりそうになって……」


「ケガは!?」


杏梨に何かあったらと思うと冷静ではいられなくなる雪哉だ。


「ぶつからずに転んだんです 手のひらと膝のかすり傷程度です」


本当は雪哉さんに教えたくない。

俺が杏梨を守りたい。


「どこにいる?」


場所を聞いたらすぐにでも出て行きそうな雪哉に彩の顔が引きつる。


「峻は帰って!峻が杏梨ちゃんの面倒を見るわ!だからここにいて!」


感情を爆発させると枕に伏せて泣き始めた。



姉貴……、それほどまでに雪哉さんを……。



峻は泣きじゃくる姉を見て可哀想に思った。



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