Love Step
「杏梨ちゃん、大丈夫?今、どこにいるの?」


杏梨に責める言い方をしてしまった事を後悔していた。


「知り合いの所です じゃあ」


峻は挨拶をしてドアに向かう。


「あ!杏梨ちゃんに伝えてくれる?私が謝っていたと……それとこれを」


振り返った峻の目の前に差し出されたのは名刺だった。


「きっと杏梨ちゃん、確かめたいと思うの なぜこの名刺がバッグに入っていたかを」


峻は名刺を受け取った。



浜田 晴美……晴美……月光ジャーナル編集部……!!!!



峻の身体の血の気が一瞬引いた。



「峻君?どうかした?」


名刺を見て固まってしまった峻にめぐみは小首を傾げる。


「えっ?いいえ、なんでもないです 失礼します」


軽く頭を下げると店を出た。




数日前の姉貴の電話……。

晴美さんはあの週刊誌の編集部に勤めていたんだ。

だけど姉貴の親友の彼女があんな記事を書くか?

姉貴にとって最悪な記事を。

ありえないだろ……。



「……分かっている それくらい覚悟しているわ いいからやって!」


「親友の貴方だから頼めるの よろしくね」



あぁ……そうだったのか……。


峻は悟った。


姉貴は危うい立場にしてまで雪哉さんを愛しているんだ……。




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