Love Step
雪哉が仕事に行ってしまうと杏梨はずっとさぼっていた掃除や洗濯にいそしんだ。



一緒に住み始めてから掃除と洗濯は杏梨がやっていたが、今日はいつにもましてはかどる。



「そうだ!シーツもお洗濯しようっと」



数時間前までいた寝室に入り、ボックスシーツをはがす作業に専念する。



上質なリネンのシーツはオーダーメードらしい。



ベッドが大きいからはがす作業も干すのも一苦労する。



一苦労だけれど、それさえも愛しくて胸がいっぱいになる。



杏梨の顔は始終、笑みが浮かんでいた。



それに一時間おきくらいにかかってくる雪哉の電話。



こんなゆきちゃん知らなかった。


彼女にはマメなタイプ?


今までの彼女にもそうだったのかと考え、口がへの字になる。


それにしても電話は嬉しいのだけれど、仕事に差し支えないのか心配になる。


たった今切った電話は、夕食を外で食べようと言ってくれた。



それでさっきの嫉妬はすっかり消えた。



どこへ行きたいか聞かれると、杏梨は前に行ったシーフードのお店に行きたいと言った。



散歩の途中で、峻と梨沙にばったり会ってしまったあの場所だ。



きれいなお洋服を着て雪哉とデートしたかった。



雪哉に相応しいと思われるような姿になって。



雪哉のためにきれいなドレスを着て。




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