Love Step
* * * * * *



「雪哉さん、杏梨ちゃん今日もお休みですけど大丈夫ですか?」



朝一番の客の施術を終えためぐみは、ちょうど手の空いた雪哉に近づいた。



「あぁ、もう大丈夫だよ あさってから貴美香さんのところへ行くから念のために休ませたんだ」



「そうですよね 行く前に具合が悪くなったら大変ですものね 雪哉さんも数日行かれるんですよね?」



「4日間、留守にするけどよろしく頼むよ」



「はいっ お土産よろしくお願いします」


冗談めいて土産を頼むめぐみを見て笑った。



「あ!今日の予約は5時の岸谷様で終わりにして欲しい 杏梨と食事に行く約束でね」



雪哉の予約は最低1ヶ月前に入れなければ取れないのだが、お得意様や芸能関係であると突発的に仕事が入ってしまう事があるのだ。



「はい 受付に伝えておきます」




2人の会話をすぐ近くで琴美は聞いていた。



もしかして……あの2人……。



昨日、杏梨から相談を受けた琴美は今の会話に眉を寄せた。



今日は2人で食事……って事はうまくいったに違いない。



彩に雪哉を取らないでと言うように勧めたのは琴美だ。



そうすれば、雪哉と杏梨に溝が生まれるに違いないと思ったからだ。



あの子が幸せになるのは許せない。


どうやら面白くない方向に進んでいるみたいね。



下唇を噛むと、自分のネイルサロンへと向かった。



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