Love Step
泣きはらした顔を拭いているとビクッと身体を震わせて杏梨は目を開けた。



目を開けた杏梨は身体を起こした。



「ごめん 冷たかった?」



「あ……」



困惑した表情で雪哉を見ている。



「何も考えずに眠った方がいい」



「……な……なにも考えずに寝るなんて出来ない 寝られないよ……」



杏梨は雪哉の横をすり抜けて床に足を降ろした。



「杏梨?」



「わ、わたし……今日は自分のベッドで寝る」



そう言って出て行こうとした杏梨の手首が掴まれる。



「1人に出来るわけがないだろう?」



うつむいている杏梨の表情が見えずに苛立つ。



「お願い……1人で考えたいの……」



震える手で雪哉の手を振りほどきドアの取っ手に手をかけた。



「杏梨!」



「本当に大丈夫だから おやすみなさい」



杏梨が出て行ってドアが閉まった。



雪哉は苛立ちを枕にぶつけた。



こんな反応も予想していたはずだろう?


今までの杏梨ならばこれくらいの拒絶反応はかわいいものだ。


問題は明日の朝。


考えすぎてあの頃の杏梨に戻らないで欲しい。




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