Love Step
「ぅ……うそだよっ!名前がっ!違う!」



「事件後、両親が離婚したんだ」



「記憶が無くなった時、彼女と昼食を食べただろう?階段から落ちた時も彼女はいた 本当に彼女のせいなのかわからないが自殺した弟の復讐を企んでいるかもしれない だから彼女にあって欲しくないんだ」



琴美さん……本当に……そうなの?



大きな瞳から涙がポロポロ溢れ出し雪哉の肩を濡らしていく。



「こんな事を話したらまた元の杏梨に戻ってしまいそうで言い出せなかった」



しゃくりあげるような泣き方に雪哉の胸がつまる。



「すまない 忘れたい記憶なのに……」



何を言っても今の杏梨は泣きじゃくるだけで聞いていなかった。




小さな子供のように泣きじゃくった杏梨は泣きつかれて腕の中で眠ってしまった。



汗ばんだ額に口付けするとギプスに気をつけて抱き上げた。



寝室のベッドに静かに横たえる。



涙で顔が赤くなっている。



寝室を出ると濡らしたタオルを取りに洗面所へ向かった。




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