Love Step
部屋に入ると杏梨は両腕で身体を抱きしめるようにしてリビングのソファーに座った。


心配げに見てから雪哉はキッチンに行き、杏梨の為にカフェオレを作った。



コトッ


ピンク色のカフェオレボウルが杏梨の目の前に置かれた。


置かれた事に気づいた杏梨はハッと顔をあげて雪哉を見る。


その表情はさきほどよりも落ち着いて見える。


「店まで来たのは何か急用でもあったのかい?」


雪哉は対面に座ると聞いた。


「あ、謝らなくちゃって……」


「謝るって何を謝るんだい?」


杏梨の言っている事が分からず眉根を寄せて聞く。


「あたしが……自分勝手だったから……」


そう言うと雪哉を見る目が潤み始めた。





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