Love Step

強引な言い分

「杏梨、何を言っているんだ」


雪哉は立ち上がると杏梨の隣に座り肩をそっと抱き寄せた。



肩を抱かれても嫌な感じはしない。


むしろその行為が嬉しいと思っている……。



「今日の事はゆきちゃんのせいじゃないのに……」


「いや、俺のせいだよ 俺がちゃんと起きて送ってあげていれば危険な目に合わずに済んだのに 杏梨の気持ちを考えずに責めてしまった俺の方が謝らなければいけない」


「ゆきちゃん……」


「目覚まし時計をかけてくれてありがとう」


柔らかい髪をゆっくり撫でる。


杏梨に触れるのはすごく気を使う。


今は拒絶されなくて良かったと安堵していた。



「少し落ち着いた?」


杏梨はコクッと頷いた。


「彼は心配して声をかけたんだ」


「……うん わかってる」


だけどあまりにも不意打ちで驚いてしまったのだ。


一瞬でパニック状態になって叫んでしまっていた。


「驚かせちゃったよね……」


わたしの事を知らないのだから頭がおかしいと思われても仕方がない。




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