Ｌｏｖｅ　Ｓｔｅｐ

後悔

杏梨の悲痛な顔を見ると、出て行くに行けない琴美はただ突っ立っていた。




もはやあきらの頭には杏梨しかなく、琴美が立っているのも気にならないようだ。




いきなり杏梨の後頭部を押さえる様に掴むと自分の方へと引き寄せた。




強い力で引き寄せられて、片方の腕であきらに抱きしめられる。




「っ！い、いやっ！離してっ！」




いやいやをするように杏梨は大きく頭を振った。




「誰も助けないよ？」




ニヤッと笑って顔が近づいた。



華奢な杏梨の力では抱きしめられる腕はびくともせず余計に力を加えられてしまい腕に痛みが走る。




「痛いっ！」



叫んでもまったく気にされない。



それどころか顔が近づき、たばこ臭い口で唇を塞がれてしまった。




杏梨は足をばたつかせた。




琴美は呆然と見ているだけだった。




叫び店員を呼ぶのは出来る。しかし、それをすればずっとこの男は私から離れてくれない。




そう思うと、動けなかった。



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