Love Step
* * * * * *



雪哉の腕がシーツの上を彷徨う。



杏梨?



ハッとしてまたたく間に目が醒めて身体を起こす。



ベッドには自分ひとりだった。



「杏梨!?」



雪哉は心配になり寝室を出た。




「ゆきちゃん!おはよう~」



ダイニングテーブルに朝食の用意をしていた杏梨は顔を上げてにっこり笑った。



「……」



頭に手をやり雪哉はため息を吐いた。



「どうしたの?ゆきちゃん?」



黙ったまま雪哉は杏梨に近づくとぎゅっと抱きしめた。



「ゆ、ゆきちゃん?どうしたの?」



痛いくらいに抱きしめられて驚く。



「……いなくなったかと思った」



杏梨は笑って雪哉の頬にキスをする。



「ゆきちゃんの所以外に行く所なんてないよ?」



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