To Heart
伊勢から戻ると、神谷が「待ってました」というように僕の家に遊びに来た。
僕同様、神谷も年末年始1人で理央ちゃんについて考えていたらしい。
「俺、決めたんだ。理央ちゃんとはずっと「友達」という立場で行こうと思う」
神谷にはめずらしく、真剣な表情で切り出した。
「色々考えたんだ。俺にとって理央ちゃんがどんな存在で、どうしたいのかって。確かに、初めは顔だったよ。美人だし、あんな子が彼女になってくれたらいいなって感じでさ。ミーハー的な感じだったんだ。
でもさ、お前のお陰で理央ちゃんと近づけたら、どんどん本当に好きになっていって……あの時は、お前の前だったから冗談ぽく言ったけどさ、理央ちゃんに彼氏がいたって事、マジでショックだったんだ。近づけば近づくほど、なんか遠くに感じて。マジで切なかった……」
神谷は俺が土産に買ってきた『糸印煎餅(小ぶりでほのかに甘い、伊勢の軽い口当たりの煎餅)』をボリボリと食べながら、お茶を啜(すす)った。
神谷の話は、他人事には思えなかった。
神谷と同じ様な状態だけに、自分の事と重なって胸が痛くなった。