To Heart
大学が春休み中の3月半ばの事だった。
その日はカフェの定休日で、学校の図書館に調べ物をしに行った後、いつものように自転車で彼女のマンションの方を回ってアパートに帰ろうと考えていた。
しかしツイていないことに、夕方大学を出てすぐパラパラと雨が降り始めた。
久しぶりの雨だ。
サドルの後ろにビニール傘がいつも刺してあるが、傘をさす程の雨でもないと思い、濡れながら帰る事にした。
しかし、このところ気温が高めのいい天気が続いていて薄着だった僕は、雨に濡れることによって徐々に肌寒くなり、彼女のマンションの方を回るのを諦めて、246を通ってまっすぐアパート向かった。
246を走っていくと、用賀近くの歩道橋の手前で、傘もささずにフラフラと歩く女の人が、少し離れたところから目についた。
危ないな……と思った。
まるで、車道に飛び出して行ってしまいそうな不安定さだった。