To Heart
1人で迎えたその年のクリスマス・イブ。
仕事を終えて疲れ切った体を引きずりながらアパートに帰る道すがら、夜空を見上げた時ふっと頭に浮かんだのは、沙也加と過ごした2度のクリスマスではなく、20歳の時に彼女と2人乗りをして帰ったあの夜のことだった。
情けないほど純情だった20歳の恋。
沙也加との思い出が段々と薄れていっても、彼女を想っていた時のことは不思議と鮮明に思い出せる。
あの時の純粋な気持ち。
報われなかった切ない想い。
あの頃の思い出は、僕の心の奥で今でも宝石のようにキラキラと輝いている。