To Heart
「おかしいのは分かってるんだ……あの人のこと、なにも知らないのに」

僕がポツリと言うと神谷は

「おかしくなんかないぞ! 恋は理屈じゃない! うん! そうだ!」

と、酒のせいで勢いが増して、変なテンションで「恋」について力説した。

なんだかとてもおかしかったけれど、神谷の言葉が妙に嬉しかった。

「よ~し! もう一本飲むか!」

僕たちはまた缶ビールを開け、夜中までバカみたいにまだお互いに叶ってもいない恋愛について語り合った。

片想いしている人との事を、色々想像して浮かれているこんな時期が、もしかしたら一番純粋で、一番楽しい時なのかもしれない。

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