To Heart


それから、僕は図書館にやたらと通う代わりに、週1~2位のペースで彼女の働く店に通うようになった。

店に行っても、ジッと彼女のことを見つめることは出来ないし、図書館の時と変わらず、視線の隅に彼女の気配を感じている位しかできないが、前と違うのは、彼女の視界に僕がキッチリと収まり『カフェの店員とお客』として注文をするだけのことでも話すことが出来るようになったことだ。

と言っても、やっぱり間近で彼女の顔を見るのは恥ずかしいので、俯き気味になってしまうのだけど──。

出来るだけ彼女を意識していることを気付かれないように、細心の注意を払いながら、この店で過ごす数十分が嬉しかった。

本当は毎日でも通いたいところだが、さすがそこまで行くと怪しい人物になりかねない。

その代わりに? それ以外の日は、帰り道でもないのにわざわざその店の前を通って家に帰った。

自転車でサッと走り抜ける時に横目で店の中を見ながら、彼女の姿が一瞬でも見ることが出来た日はそれだけでも幸せな気分だった

< 39 / 171 >

この作品をシェア

pagetop