To Heart
「え?」

真美子ちゃんが、目を丸くして驚きの声を上げる。

僕の頭は、恥ずかしさと混乱でゴチャゴチャになり

「な、なので……」

そう言いながら自分のカバンと上着を手に取ると、事もあろうに

「僕はこれで!」

と言い残して、そのまま下着姿の真美子ちゃんを置き去りにして、部屋から飛び出し、逃げるようにホテルを出て、東急の前までもの凄いスピードで走った。

渋谷駅でホテル代を置いてくるのを忘れたことに気付いたが、今更ノコノコと戻っていける訳もなく……

そのまま、苦い思いを抱えて用賀のアパートに戻った。
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