来栖恭太郎は満月に嗤う
見間違いかと思い、目を擦る。

その時にはもう、リルチェッタはいつもの姿に戻っていた。

だが、有り得ない何かが起きたのだけは分かる。

その証拠に彼女の目の前には、まるで轢死体のように地面にめり込んだライガンの姿。

「ごめんねライガン…私も貴方の餌になってあげる訳にはいかないの…殺さなかっただけ勘弁してね」

憂いを帯びた瞳でライガンを一瞥し、彼女はそそくさとその場を後にする。

恐らくは、誰にも目撃されていないと思っているのだろう。

だが…。


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